ワンマン列車の車内で発行された車内補充券
(讃)高松→昭和町の四国会社の車内補充券です。定期券からの乗り越し用として発券していただきました。一見すると何の変哲もありませんが、入手がかなり困難なものです。
予備知識として、JR四国の列車番号の法則性を理解しておく必要があります。
運行方法 | 列車番号 |
---|---|
ワンマン運転 | 4×××M(D) |
都市型ワンマン運転 | 5×××M |
このように、ワンマン列車は列車番号の千の位が4、都市型ワンマン列車は5と設定されています。(サンライズ瀬戸号は例外)
都市型ワンマン列車とは、整理券の発行や集札を行わない、信用乗車方式というものです。有人駅では駅係員が改札・集札を行いますが、無人駅で乗降する場合は改札、集札、車内改札の何れもなされないため不正乗車が容易になります。無人駅で乗降する旅客は、乗車前に乗車券を購入するか降車後に駅設置の青色の箱に運賃を投入することになります。
前述の通り、不正乗車が容易である運行形態のため運転士とは別に乗務員が乗務し、抜き打ちで車内改札が行われることがあります。これはその際に購入したものです。
ワンマン列車でも、乗務員訓練などで車掌が乗務している場合が稀にあり、その際には4×××M(D)の車内補充券を入手することが可能です。
JR四国へのアシストマルスの導入
2020(令和2)年8月3日より、今治駅・善通寺駅・詫間駅でアシストMVの稼働が開始したようなので、早速足を運んでみました。これにより、全ての旅客鉄道会社に導入されたことになります。昨今の新型コロナウイルスの影響で、JR四国に限らずどの鉄道会社も経営が落ち込んでいる状況ですが、アシストマルスの導入は昨年の8月、ほぼ一年前から計画されていたものであり、全くの無関係だと思われます。
JR四国のニュースリリース:http://www.jr-shikoku.co.jp/03_news/press/2020%2007%2028%2002.pdf ※PDF注意
善通寺駅のアシストMV(MV-50型)です。善通寺駅に限らず、どの駅にも入場券の口座の設定があります。愛称は、JR西日本と同じく「みどりの券売機プラス」が採用されました。岡山行き特急南風号専用のメニューがあり、たいへん便利です。
基本的には他社と同じ仕様ですが、オペレーターを呼び出すと……
このように、オペレーターの顔の両端にJR四国のイメージキャラクター「すまいるえきちゃん、れっちゃくん」が現れ、JR四国の端末であることがひしひしと伝わってきます。
続いて、こちらは今治駅です。
このような掲示物がありますが、若干引っかかるものがあります。
・公平なサービスの提供のため、オペレーターからトクトクきっぷ(特別企画乗車券)の提案はしない
・今治駅から伊予市方面へ自由席で特急を利用する場合、特急券は松山駅で区切ることを申告する※
みどりの窓口であれば、その地域に精通した係員の対応を受けられますが、アシストMVとなればカバーする範囲が広いため気を利かせた対応ができないことを補うための掲示だと思います。詮方ないことではありますが、明白なサービスの低下を感じずにいられません。
実際にオペレーターを呼び出して乗車券類変更をしてみました。今回導入された3駅は、発行箇所名が「××駅AMV」に統一されています。MVAとしている会社は複数ありますが、驚くべきことにAMVとしたようです。
アシストMVの導入と聞くと、みどりの窓口の閉鎖が連想される方も少なくないのではないでしょうか。お察しの通り、9月30日付けで善通寺駅・詫間駅のみどりの窓口が閉鎖されます。
休憩時間は設けられているものの、無人化はされず引き続き改札業務と旅客の案内は行うようです。JR四国で、駅員配置駅かつ出札窓口がない駅が生まれるのは恐らく数年振りのことです。今治駅に閉鎖の話は現時点ではまだありませんので、ワーププラザが閉鎖されたことによる出札窓口の負担を軽減するための導入だったのかもしれません。今後の動向に注目です。
※あくまでも予想ですが、松山駅で区切って購入するほうが、安価な利用が可能であるためだと思います。詳しくはこちらをご参照ください:https://y36-nyugawa.hatenablog.jp/entry/2020/05/26/201501
マリン・パノラマ号の廃止(その1)
快速マリンライナーの先頭(後尾)、グリーン車指定席のパノラマ席は、マルスシステム上では現在「マリン・パノラマ××号」というマリンライナーとは別列車の扱いになっています。しかしながら、始発駅基準8月1日よりマリン・パノラマ号がマリンライナーに統合されるとの情報を得たので実際に発券してきました。マルスシステム上での扱いが変更になるのみで、実際に列車になんら変更はありません。
・マルス端末
マリン・パノラマ43号、49号の普通列車用グリーン券です。前者は日本語、後者は英語表記となっています。
グリーン券を発券する際には、マリンライナー49号を選択してもパノラマ席は発券できず、マリン・パノラマ49号を選択する必要があります。遠方の出札係員の方だと混乱を招いてしまうかもしれません。
英語表記だと、MARINE-PANORAMA 49となります。英語表記のマルス券を出すには、係員操作型の端末で付帯項目→英語表記を選択するか顧客操作型の端末で日本語以外(英語に限らず、中国語などで操作しても英語で発券される)で操作する必要があります。日本語だと中点が入りますが、英語だとハイフンになるようです。
通常の2階席のグリーン券はこのようになります。
この「マリンライナー何号」という表記は8月1日以降も変わらず印字されます。
・S-POS端末(中継機能)
JR四国のS-POS端末では、島内または島内に直通する一部を除いた列車の指定券や東海道・山陽新幹線の指定券の発券が可能です。なお、端末から直接指定席を押さえることはできないため、近隣のマルス設置駅に電話をして座席の確保をしたものを端末へ手入力するという形です。必ずしも最寄りのマルス設置駅に電話をかけるとは限らず、離れた駅や販売センターに電話をすることもあるようです。
マリン・パノラマ5号の普通列車用グリーン券です。
POS端末でも、マリン・パノラマ号に対応しています。なお、B-POSのように英語表記をする機能はありません。
前述の通り、S-POS端末の中継機能はマルス設置駅から電話で得た列車名、席番、C符号などの情報を手入力、いわば発券するまでの方法は料金専用補充券の場合とあまり変わりありません。そのため、端末にて入力する際にマリン・パノラマ号ではなく誤ってマリンライナー号を選択してしまうという可能性も考えられます。誤ったからと言って使用するときに困ることはないので、はっきり言ってどちらでもいいんですが…笑
統合されることの問題点、課題
統合されると、「2階席を抑えたつもりなのに、いざ乗車してみるとパノラマ席だった」「グループで向かいあわせになるよう予約したのに、パノラマ席と2階席に分かれてしまっていた」といったトラブルが考えられますが、一応それに対する対策は取ってあるようです。
みどりの券売機では、このように「※1:他の座席とフロアが異なります」と大きく注意がなされます。しかしながら、e5489のネット予約ではなんの注釈もなく決済画面まで進めてしまいました。まだ試験的段階なのでしょうか、改善の余地はありそうですね。
西明石駅発着の上り方面の自由席特急券
西予約セe042発行(e5489) 西明石→神戸のB自由席特急券です。この区間にはB特急料金が適用されます。
一見するとなんの変哲もないこの特急券ですが、実は2020年7月4日以降に通用するものの購入ができなくなります。詳しく見ていきましょう。
時刻表をめくってみると、新幹線を除いた西明石駅に停車する特急列車は
(上り)・らくラクはりま(土・休日運休)
(下り)・はまかぜ5号
・スーパーはくと13号
・らくラクはりま(同上)
の計4つの列車であることが読み取れます。これらの列車はすべて2019年春のダイヤ改正によって停車(運行)するようになったため、それ以前は西明石駅から定期の特急列車に乗車することはできませんでした。
西明石駅に停車する上りの特急列車は、平日のらくラクはりま号しかありません。そんな「らくラクはりま」号ですが、2020年7月3日から全車指定席になり自由席が消滅するため、この西明石→神戸のような上り方面の自由席特急券を購入できるのは、2019年3月18日〜2020年7月3日の平日に通用する一年強のごく限られた期間になります。ソース:https://www.westjr.co.jp/press/article/2020/06/page_16194.html
特急券の分割による節約
(讃)高松→観音寺の自由席特急券です。途中の高瀬駅で区切って購入しました。
(讃)高松→(讃)高瀬間が530円、(讃)高瀬→観音寺間が330円なので、料金は合わせて860円です。
同じ区間をYahoo!乗換案内で検索してみましょう。
特急列車の自由席を利用しており、その特急料金は1200円です。これは(讃)高松→観音寺間を途中駅で区切らず、通しで購入した場合の料金です。(讃)高瀬駅で区切る方が区切らずに購入するよりも340円も安くなっています。何故このような現象が発生するのでしょうか。
始めに、区切らず購入した場合の料金を考えてみます。旅客営業規則(以下旅規)第125条第1号ロの(イ)bによって計算します。高松・観音寺間の営業キロ56.5kmに対応するところは表の100キロメートルまでなので、1730円から530円を低減して1200円となり、乗換案内の結果と一致しますね。
次に、区切った場合の料金を考えてみます。区切らない場合と同様に考えて、旅規第125条第1号ロの(イ)bをもとに料金を算出したいところですが、JR四国内の短距離の特急料金は通常より安く設定されているので、他の条文も参照します。(旅規第57条の3第2項及び旅客営業取扱基準規程(以下基準規程)第97条の2第3号)。つまりは、長距離を通しで買うより途中駅で分割し短距離2つにした方が安い場合があるというわけです。
高松から高瀬までの営業キロは47.0km、高瀬から観音寺までは9.5kmで、どちらもJR四国内に運転する特急列車の50km以内の停車駅相互間に該当します。よって、基準規程第129条の2第2号イの表を用いて計算します。
(讃)高松→(讃)高瀬は50キロメートルまでなので530円、(讃)高瀬→観音寺は25キロメートルまでなので330円で、上のマルス券と金額が一致しますね。(※)
あくまで個人的な見解にはなりますが、JR四国の多くの路線は普通列車の本数が極端に少なく、特急列車を利用することも少なくありません。そこで、短距離であっても気軽に特急列車を利用できるようにするためにこのように安価な特急料金が設定されたものと思います。
節約としては大変有効な使い方ですが、万が一輸送障害が発生した際に無賃送還などで旅客不利になる場合もあります。他にも、払戻をする際に手数料が2枚分発生してしまうなどメリットばかりではありませんので、実行される際には自己責任でお願いします。
※リンク先の情報が若干古いもので、消費税が5%のころのものです。現在と多少金額は異なります。
(特定の特別急行券の発売)
- 旅規第57条の3
- (略)
- 2
- 前項の規定によるほか、新幹線以外の線区であって、別に定める区間を乗車するときは、特定の特別急行料金によって指定席特急券、立席特急券、自由席特急券又は特定特急券を発売する。ただし、乗車する列車を限定して発売することがある。
(略)(大人の特別急行料金の特定)(略)ア 指定席特急料金
次表に定める料金とする。ただし、規則第57条の3第1項第1号の規定により発売するものにあつては、同表に定める料金から200円を、同条第3項の規定により発売するものにあつては、同表に定める料金から510円をそれぞれ低減した額とし、また、同条第1項第2号の規定により発売するものにあつては、同表に定める料金に200円を加算した額とする。
サンライズ瀬戸号 琴平延長運転区間の乗車券・特急券
サンライズ瀬戸号 坂出→琴平の指定席特急券です。時刻・料金は現在と異なります。
瀬戸内海国立公園指定80周年を記念して、2014年9月14日から始発駅基準で土休日の前日(実際に延長されるのはその翌日)に限り下りの行先を琴平まで延長して運転が行われています。東京から(讃)高松を経由して琴平方面へ向かうため、本州から乗車する場合は宇多津↔︎(讃)高松を、坂出から乗車する場合は坂出↔︎(讃)高松を重複して乗車することになります。しかし、実際には乗車券・特急券は(讃)高松を経由せず、宇多津(坂出)から直接琴平方面へ向かうルートで発売されます(寝台券については後述します)。一体どういうことなのでしょうか。
旅客営業取扱基準規程ではこう定められています。
(特定列車による折返し区間外乗車の取扱いの特例)第152条 次に掲げる区間を折り返して直通運転する急行列車に乗車する旅客に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
札幌・白石間
南千歳・新千歳空港間
函館・五稜郭間
羽前千歳・山形間
宮内・長岡間
日暮里・上野間
金山・名古屋間
津幡・金沢間
倉敷・岡山間
備中神代・新見間
宇多津・高松間
西小倉・小倉間
第152条の宇多津・高松間に該当しますね。坂出駅から乗車する場合は坂出・高松間ですが宇多津・高松間に坂出・高松間が含まれるので問題ありません。第152条は乗車券の効力に関する特例ですが、第166条で急行券に準用する旨の記載があるので乗車券・特急券の両方とも高松駅を経由しないルートで発売されます。
では、寝台券についてはどうでしょうか。寝台券は、乗車券と急行券のように効力の特例が定められていません。寝台券は折り返す(讃)高松駅で区切って購入する必要があるかといえば、当然そうではありません。旅客営業規則第182条を見てみましょう。
(寝台の使用区間)
ここから、寝台の使用区間は当該列車が運転する全区間であるということが読み取れます。全区間とは東京→琴平間です。例えば途中の横浜から乗車して岡山で降りたとしても、寝台の使用区間は始発の東京から終点の琴平までになります。したがって、寝台券の効力は区間ではなく列車単位で決まるため折返し区間外乗車の効力の特例を定める必要はありません。列車単位なので、たとえその列車が一部分を折り返して運転したとしても関係ありませんね。
今は昔、1999年7月から、多客期では同じように(讃)高松駅で折り返し、松山駅まで延長運転が行われていました。当時もこれらの条文をもとに折返し乗車が認められていたものと思います。
サンライズ瀬戸号に乗車してみたいという方は坂出→琴平間で一度乗車してみてはいかがでしょうか。延長区間のみでの乗車はできませんので、(讃)高松駅より前の停車駅から乗車する必要がありますが坂出駅からでも乗車可能です。ノビノビ座席なら運賃・料金合わせて1,430円で89分乗車できます。(讃)高松駅で35分間も停車しますが、十分に楽しめますよ。