サンライズ瀬戸号 琴平延長運転区間の乗車券・特急券
サンライズ瀬戸号 坂出→琴平の指定席特急券です。時刻・料金は現在と異なります。
瀬戸内海国立公園指定80周年を記念して、2014年9月14日から始発駅基準で土休日の前日(実際に延長されるのはその翌日)に限り下りの行先を琴平まで延長して運転が行われています。東京から(讃)高松を経由して琴平方面へ向かうため、本州から乗車する場合は宇多津↔︎(讃)高松を、坂出から乗車する場合は坂出↔︎(讃)高松を重複して乗車することになります。しかし、実際には乗車券・特急券は(讃)高松を経由せず、宇多津(坂出)から直接琴平方面へ向かうルートで発売されます(寝台券については後述します)。一体どういうことなのでしょうか。
旅客営業取扱基準規程ではこう定められています。
(特定列車による折返し区間外乗車の取扱いの特例)第152条 次に掲げる区間を折り返して直通運転する急行列車に乗車する旅客に対しては、当該区間内において途中下車をしない限り、旅客運賃を収受しないで、当該区間について乗車券面の区間外乗車の取扱いをすることができる。
札幌・白石間
南千歳・新千歳空港間
函館・五稜郭間
羽前千歳・山形間
宮内・長岡間
日暮里・上野間
金山・名古屋間
津幡・金沢間
倉敷・岡山間
備中神代・新見間
宇多津・高松間
西小倉・小倉間
第152条の宇多津・高松間に該当しますね。坂出駅から乗車する場合は坂出・高松間ですが宇多津・高松間に坂出・高松間が含まれるので問題ありません。第152条は乗車券の効力に関する特例ですが、第166条で急行券に準用する旨の記載があるので乗車券・特急券の両方とも高松駅を経由しないルートで発売されます。
では、寝台券についてはどうでしょうか。寝台券は、乗車券と急行券のように効力の特例が定められていません。寝台券は折り返す(讃)高松駅で区切って購入する必要があるかといえば、当然そうではありません。旅客営業規則第182条を見てみましょう。
(寝台の使用区間)
ここから、寝台の使用区間は当該列車が運転する全区間であるということが読み取れます。全区間とは東京→琴平間です。例えば途中の横浜から乗車して岡山で降りたとしても、寝台の使用区間は始発の東京から終点の琴平までになります。したがって、寝台券の効力は区間ではなく列車単位で決まるため折返し区間外乗車の効力の特例を定める必要はありません。列車単位なので、たとえその列車が一部分を折り返して運転したとしても関係ありませんね。
今は昔、1999年7月から、多客期では同じように(讃)高松駅で折り返し、松山駅まで延長運転が行われていました。当時もこれらの条文をもとに折返し乗車が認められていたものと思います。
サンライズ瀬戸号に乗車してみたいという方は坂出→琴平間で一度乗車してみてはいかがでしょうか。延長区間のみでの乗車はできませんので、(讃)高松駅より前の停車駅から乗車する必要がありますが坂出駅からでも乗車可能です。ノビノビ座席なら運賃・料金合わせて1,430円で89分乗車できます。(讃)高松駅で35分間も停車しますが、十分に楽しめますよ。